はと/15日

 みなさん、こんばんは。ちょっと涼しくなったと思いませんか?ただし、ここに雨が降らない状況は変わりませんので、たいへん不安です。さすがに市民の多くも不安がっています。「福山砂漠」と呼ばれる日が来そうです。地球の中緯度高圧帯のごとく、福山の上空を雨雲が避けて通っているようです。
 さて、それはおいといて、お盆の山行、15日の話しです。何とまあ、14日の夜は、すごい風雨でした。熱帯性低気圧が日本海を通過したからです。山小屋は、隙間風の入る小屋もありますが、大天荘は冬でも大丈夫なように二重の窓になっています。すると寒気防止にはいいのですが、換気が悪いので、私はこそっと2箇所の窓を開けておきました。そのせいもあってか、ヒューン、ビュッビュッビューーンとすごい風音がして、夜中に何度も目が覚めました。朝、同じような目に会ったことを話している人がけっこういましたね(笑)。
 朝は、雨は止んでくれましたが、猛烈なガスで十m先が見えません。でも、雨が降るよりはましまし。ゴアテックスの雨合羽の下だけをはいて出発しました。北アルプス表銀座逆走、燕岳(つばくろだけ)までです。
 のんびりと歩いて、燕岳の1km手前の燕山荘(えんざんそう)に着いたのは、10時。天気は、ガス、ときどき小雨、曇り、一瞬日が射す、という状況です。アップ・ダウンは、大天井岳(2922m)を出てすぐに300m下降して、切通岩(きりどおしいわ)という名のついている鞍部(切戸=キレット)から登り返しますが、ぼちぼちで燕岳(2763m)がゴールですから、楽なコースだと思います。天気が悪かったのですが、それなりに多くの写真を撮りました。

①【大天荘】
 基本的な構造は、昭和49年に建てられたままです。大天井岳が人気がないせいか、山頂直下にあり、かつ素晴らしい展望が期待できるわりには、空いている山小屋です。今回で3回目ですが、ちゃんと一人畳1畳ふとんをワンセット使えました。食事は、メインが肉と魚からセレクトできるのですよ!ただ笑えるのは、受付のお兄さんが誇らしげに言うのですが、料理を聞くとね、肉=和風ハンバーグ、魚=鯖の味噌煮、ああ何て可愛いんだ。さあ、私はどちらにしたでしょうか?無難で満足しそうなのは、和風ハンバーグでしょうが、ここはやはり標高2900mで食べる海の幸、鯖の味噌煮の方に、キンコンカンコン、こっちこっちと、脳みその大部分が共鳴しておりましたので、びしっと鯖の味噌煮を指名しました。するとー、お兄さんが、「ありがとうございます。今のところお一人だけです。」と言う。「え、まずいの?それとも偽物なの?」とあわてて尋ねると、「いえ、本物です。食べられた方はおいしいと言われます。」「まあ、いいや、どっちみち、こんな山小屋で食べることに意義があると思ってますので。」「ええ、そうです、そうです。珍しいと思います。」
 写真を撮っておくべきだったのですが、撮るまでもないくらい下界のものとまったく同じ代物でした。味も同じ物。少し違ったものを、こっそりと期待していたのですが、逆に言うと、こんなものをこんなところで出せるなんて、大したものだと思いました。私の回りの人たちも、「おお、すげえ。」「まあ、おいしそう。」などと賛辞を飛ばしまくり。「だからさー、あんたたち、何で注文しなかったわけー?」と言いたい気持ち、ひとしきりでありました。


②【大天井岳山頂】
 雨が降っているので、どうでもよかったのだけれども、YAすべエがちゃんと登って写真を撮っていたので、ちょこっと行って来ました。何にも見えません。小さな祠が1つあるだけです。前回、来たときにこの近くでストーブでクッキングをしたのが懐かしくて、その場所を眺めました。今度来るのは、いつになることやらね。


③【登山道】
 大天井岳は、悪く言えば岩が積み重なってできただけの山で、きれいでもなくりっぱでもなくたいていは槍ヶ岳に行く途中、通過されるだけの山です。いわゆるガラ場ですが、ちょっと足腰を痛めそうな道ですね。


④【切通岩のハシゴ】
 登山コース中の低い鞍部にあるハシゴです。反対側にもあります。それほど大したことはありません。昔はありませんでしたが、この鞍部は年々痩せていっているようです。両脇が崩落していき、鞍部自身がしだいに細く低くなっています。やがて、表銀座コース中、最大の難所になるかもしれません。雨でハシゴが滑るので油断はできませんね。


⑤【イワギキョウ】
 チシマギキョウかもしれません。調べれば分かるのですが、ちょっと大儀い。背が低く岩の間にへばりついているキキョウの仲間です。


⑥【霧中の登山道】
 霧と小雨の中の尾根道です。ダケカンバの幼木が風にあおられています。この稜線で1本だけで育つのは大変だろうなあ。しかし、この木を覚えました。この木に会うために、この道をまたいつか通ろうと思いました。うんうん、これがね、山男のロマンなんですじゃ。


⑦【トウヤクリンドウ】
 名前から、漢方薬の材料にしていたのでしょうね。きっと苦い。ふつうのリンドウも薬草でしょう?


⑧【コマクサ】
 駒草と書きます。ピンクの花が馬の顔に似ているからだそうです。ブヒヒヒーン。驚きました。コマクサは、燕岳付近は群落があってあちこちに咲いていますが、この表銀座コースのこのあたりには、こんなにはなかったはず。なのに、コース全体で花崗岩の砂礫地帯では必ずたくさんのコマクサが咲いていました。正直言って、こんなに咲いていると、ありがたみがないです。かつては、「北アルプスへ登って、幻のコマクサを見てきた。」なんて話になったのですが、これでは文字通り、話になりませんね。人々が大事にしたのか、種を播いたのか(北燕岳では、実験的に人為的に栽培して、笑えるほどの大群落ができています。)、はたまた自然環境が変わったためか、分かりませんが、登山者の目を楽しませることには変わりはありません。


⑨【蛙岩(げえろいわ)】
 どれが蛙岩かよく知らないのですが、きっとこの大岩のことでしょう。その割れ目の中を通過します。このコースには、あと、為右衛門の吊岩のような名前のついた大きな花崗岩があります。


⑩【イワヒバリ】
 実は燕山荘に着いたのです。がさごそとザックの中からお菓子とコーヒーを取り出していると、こいつが夫婦でやって来ました。イワヒバリという高山に住んでいる小鳥です。ただ、これはよく太っています。きっと登山者から食べ物をもらうからでしょう。ちなみに、イワガラスというやつもいます。


⑪【私です】
 ガスでまるで何も見えなかったのですが、突然晴れてきて、燕岳が見え始めたので、あわてて写真を撮ってもらいました。私の後ろに見えているのが燕岳です。ちなみに、イワツバメという小鳥もいて、季節にはここでも飛び交っているはずです。


⑫【おっともだち】
 いやあ、人畜無害人間、万歳です。わたしゃー、何にも言っていないし、何にもしていませんよ。向こうから来るんですから、仕方がありません。この女性は、カップル(どうみても夫婦にあらず)だったのですが、いろいろとお話をしてきて、記念にいっしょに写真を撮ってくださいということに相成りました。相手の男性は、ちょっと憮然とした顔…(冗談)


⑬【いつもの場所】
 燕山荘の広場にある道標。ここは記念写真のメッカ。ここで写真を撮らない人はいないと言っていいのですが、今日は、バックに山並みが見えていないのでちょっと人気薄。晴れていると、裏銀座の山々が延々と槍ヶ岳まで続いているのが見えるのです。そして、右手の奥には立山と剣岳も見えます。


⑭【クルマユリ】
 コマクサが高山植物の女王ならが、私見ですが、クルマユリが王様じゃないなかあ。ただ花はどうしても女性扱いですから、ちょっとピンと来ないと思います。


⑮【花崗岩とハイマツ】
 燕岳の魅力は(私はあんまり感心はしませんが)、花崗岩のオブジェと風化後の白い砂礫と緑色のハイマツとの対比です。実際問題、燕岳の魅力は、「北アルプスでいちばん早く登れる山」であることだと思います。もう1つは、燕山荘がとても泊まり心地のいい小屋だということです。私もテントをかついで来た事がありますが、あまりにもきれいだったので、ついテントを放っといて泊まったことがあります。


⑯【コマクサ大】
 登山道で見るコマクサは栄養不足で、厳しい環境の中でやっと生きている感じのものが多いですが、ここ燕岳では、栄養豊富で、大きな株になったものがたくさんあります。巨大株の写真も撮りましたが、あまりにも暑苦しいので載せていません。もう魅力半減。ここでも、メタボはだめですよ!


⑰【オブジェ】
 これこそ燕岳!と言いたくなるほど有名な岩です。みんなから愛されているのかどうか、よく削られていますねえ。現在は花崗岩は厳重に保護されていますから、新たに、穴を開けられたり、ステップを掘られたりはしていないと思いますが、無残といえば無残な姿です。ちょっと寂しい気持ちになります、自分に対してですよ。若い頃は、もちろんこの岩に登って、穴に体を入れたりして遊びました。写真もあります。が、現在は、そのような元気というか、遊び心がないですね。遊んでいるつもりですが、もっともっと対象に肉薄した遊びをしないといけないと痛感しました。


⑱【燕岳山頂】
 よくあるポールとか山岳表示盤はありません。これだけです。花崗岩ですから、風化が超激しくて、ものを設置しても数年で倒れてしまうのだと思います。もう登山靴でがりがりやるだけで、ぼろぼろぼろぼろと岩肌が剥げ崩れてしまいます。


⑲【岩塊】
 燕岳の写真というと、このような花崗岩のモンスター的な塊を作品に仕立てていますね。好きではありません。


⑳【燕岳】
 燕岳から燕山荘まで片道1kmをピストンして帰ってきたら、ガスがかなり引きました。燕岳の全貌が見えました。大変コントラストの強い山です。この明るさが、初めて北アルプスに登った多くの人たちをひきつけるのでしょうね。


21【燕荘】
 当初の予定では、この後、縦走路を北へ進み、北燕岳を越えていったん下降して登り返して、剣ズリという難所を通過後、餓鬼岳まで行くつもりでしたが、どうも天気が持たないだろうと判断しました。雨よりも雷が怖いのです。雨の中なら歩けるけれども、雷の中はじっとしているしかない。そうなると、時間が厳しいかなあ。疲れたしなあ。そして、また、実際のその行程を目の前に見てみると、ずいぶんと下っているなあ。しかも山ん中だよ。さぞかし蒸し暑いだろうなあ。明日の下山も1700mも降下しなければならない。ここからなら、3時間で下ってしまう。あ~、おいら決めたよ。お腹空いたよ。今この時点ですきっと晴れているなら、文句なしに前進したけど、雨が降ったらもういやだ。帰ろっと。
 ということで、正午ちょうどに燕山荘の下をトラバースして、下山することにしました。さらば、燕山荘。主人の赤沼さんの名セリフ「もし、名前を知らない高山植物があったら、それはミヤマエンザンソウです。」


22【ハクサンフウロ】
 これは有名ですから、名前は知っています。ハクサンフウロです。広島県の低い山にも同属がいます。名前はシコクフウロです。「もし、知らない高山植物があったら、それはハクサンなんたらソウです。」というくらい、高山植物には「ハクサン」を冠したものが多いですね。


23【ダケカンバ】
 白樺は平地で真っ直ぐ伸びて明るく笑うお嬢さんですが、岳樺(ダケカンバ)は山岳地帯で風雪に抗して屈曲した姿勢を保って、あるときは豪快に笑い、またあるときは長時間沈思する男らしい樹木です。その白い幹にスリスリしたくなります。石鎚山系にもありますよ。ちょっと色が黒いですけどね。


24【合戦小屋】
 出たー、合戦小屋名物夏のスイカ!下界の中房温泉から燕荘までは急登につぐ急登で、アルプス三大急登の1つに数えられています。その途中にある合戦小屋。ここでスイカが売られない夏はないのです。本当は登るときにかぶりつくのですが、今回は仕方がありません。いっただきまーす。もう最高ッス。これ800円です。塩つき。


25【針葉樹林】
 もうあといくばくもなくて、登山口の中房温泉に下り付きます。美しい針葉樹林があります。人の手が入っていたと思いますが、もう人の手を離れてずいぶんと久しい感がありますね。中房温泉では、残念、バスの便がすぐでした。でかいイヌを連れてよく怒るおじいさんのいた中房温泉に入りに行って、そのおじいさんが存命かどうか知りたかったのですが…。


 ということで、1日早くやめちゃいました。もう少し日ごろのトレーニングをしておかないといけません。山は精神力だけでは登れませんからね。体力と危険と仲良く遊ぶ心を持っていないと長続きしませんです、はい。
 このあとは、バスでJR大糸線の穂高まで行き、そこで安いトマトをかじって、この時期だけ超満員の鈍行に乗って松本まで出ます。もちろん座れるわけのない信濃号に2時間立ちっぱなしで、名古屋まで、そこからはのぞみで帰福しました。そうそう、今年も、松本駅のホームの立ち食いそばを食べました。市中のものよりも美味しい感じがします。松本は暑い。その暑い空気が、列車の熱気でいっそう暑くなったホームに立って食べるそばがうまいんです。ネギが少なかったので、おばちゃん、そばを増量してくれました。「一杯のかけそば」、280円です。
 では、これで今年のお盆の山の話は終わりです。最後まで書きました。お付き合いどうもありがとう。昨年の南アルプスは途中でぽしゃりましたもんね。次の紀行文は、「インド」です。とうとうインドです。暑そうだなあ。でもインドです。広島弁ならオヤジギャグが言えます。「インドはあついんどー。」   

2008年08月21日 Posted by Poppo at 01:03Comments(5)