2008年05月23日
はと/5月5日
みなさん、こんばんは。
5月4日に傾山から下りてきて、夕方に尾平(おびら)に着きました。ここは、旧三菱の鉱山跡で、かつては数千人の人々が住んでいたのですが、現在は、祖母山麓青少年旅行村「ほしこが」と民宿「もみぢや」があるだけです。ただ、その他に、旧鉱山の鉱毒処理と治山事業のための三菱の現地作業所がありますが、たいへん山奥で夜の静けさは尋常ではありません。
天気予報では、明日は雨となっています。夕方から、いわゆる雨風が谷間を吹き抜けていましたから、間違いないでしょう。ところが、ほしこがの支配人さんが、「たぶん、もっと早く、今晩雨になるでしょう。すると明日は大丈夫。ただし、ガスが上ってきますけどね。」と経験豊富な話をされました。私も、「雨風が早く吹いてきたし、空を見ていると雲が早いですから、そうなるかもしれませんね。だといいですねえ。」と返しました。
「福山から来られていましたね。あそこは、駅から城が見えるでしょう?」
「ええ、そうです。よく映画のワンシーンに使われます。私は、去年もちょうどこの時期にここに来ました。」
「だったら、そのときも私は同じことを言ったでしょう?城が見える駅だって。」
「ええー?覚えていませーん。もしかしたらそうだったかも~。うーん、そんな気がしてきました。」
とか何とかで少し親しくなりました。
「ところで、予約していないのですが、夕食だけお願いできないでしょうか?山の上から電話したのですが、通じなかったのです。」
「うーん、今からだと難しいですね。山の上でね、アンテナが立たなかったら、少し移動したら立つところがあります。十分通じますよ。」
「ええ、そう聞いていたのです。昨今、山の事故が多いから、日本の有名な山はほとんど何とか通じるようになっていますよね。でも、だめでした。」
「実は、祖母山も遭難が多いので、そこに向けて3ヶ所から電波が来るようになっています。九重と阿蘇と( )からと。それが干渉しあって、逆につながりにくくなっているらしいのです。だから、山頂を少しずつ移動すると、さっとアンテナが立つのです。今日も祖母山の山頂から、予約された人がいますから、間違いありません。」
「えー、そうなんですかあ。そんなことは知らないから、試さなかったもんなあ。だめだったらだめ、と思ってしまいました。でも、残念だなあ。去年も何もしていなくて、夕食は食べられなくて、お風呂に行くときにレストランを通るでしょう、あのとき見たすき焼きがうまそうでいい匂いがしていたから、今年はぜひと思っていたんです。傾山の頂上から電話が通じないなんて夢にも思っていなかった。上畑に下りてしまうと谷間だから、絶対に通じないでしょう。しかも公衆電話がないし。」
「ちょっと待ってね。厨房へ掛け合ってくる。」(こうやって、あんたはん、とっとっとっとと厨房へ行かれはったのどすえ)
「いけるそうですー!」
やれやれ、こうやって、私は念願の「ほしこが」のすき焼きの夕食にありついたのです。2200円ですが、とにかく量が多かったなあ。
その前に、もちろんお風呂に入ったのですよ。入り口に掲示がしてあります。
「戸の開放厳禁!虫や蛇が入ります。」おお、蛇とな!!去年も書いてあった。そして、あれ、本当?って聞いたんだっけ。どうやら、事例があったらしい。
田舎や山の露天風呂には、ときどきカエルが来ることがあります。そして、中に落ちると湯だって死んでしまいます。北アルプスの高天ヶ原温泉(白い硫黄泉)では、何匹も生きたのやら死んだのらといっしょに温泉に入ったなあ。
夜明け前に、猛烈な風が吹いて、木の葉が飛び散って車にぶち当たっています。けっこう強烈な雨が降って、しばらくして小雨になり、これはうまくいきそうだと思って、夜が明けてもぐだぐだしていましたら、7時には完全に止んだので山登りの準備をして、8時に登り始めました。いざ、今日は祖母山へ。ただし尾根からはガスに突入です。
標高差は、祖母山は1756m、ここ尾平登山口は600mくらいですから、ざっと1.15kmで、傾山の場合より100mほど楽だよん。
①これはミズナラの木だと思います。ブナではありません。回りにあるまっすぐな針葉樹は、ツガです。

②さっそくのお出ましのアケボノツツジです。やっぱりかわいいですよねえ。

③さっきのアケボノツツジを裏側からみたものです。プン、失礼ね、と言っているような気が…。

④本当は、2時間以上も、うんうん、ぷんぷん言いながらここまで来たのですが、突然尾根です。尾根は下から見ていてもガスの中でしたから、ほれこの通り。

⑤そのガス、というか霧雨っぽい中でのアケボノツツジ。ほのぼのとして美人です。

⑥うおー、ミルキー!完全にガスの中です。数m先はこの調子です。しっかし、いいなあ、この色合い。日本に生まれてよかったよかった。

⑦もうバンバン写しちゃう。枝から水が滴っていますね。ガス中の水蒸気が凝結しています。

⑧もう何と申しましょうか。霧中の蝶の乱舞?本当にこのような情景が目の前にあるのです。写真はウソはつきません。

⑨と、突然、コタツのある部屋。ううう、この壁と天井を別とすれば、なーにか心に染みるものがある…。そうだそうだベン君の下宿の匂いがプンプンするしー。そういえば彼は九州男児でしたからね。

これは、祖母山九合目小屋「あけぼの山荘」です。「Q合目小屋」とか書いたりします。ここに着いたのが12時前、何を隠そう、私はその後、1時間近く、このコタツに入っていたのです。1997年に町の施設として落成して以来ずっと管理人をされている(名前は隠します。写真を撮られるのも大の苦手な人ですので、管理人さんと呼びます。)管理人さんと、外で話していて気が合うというのか、おそろしいことに価値観が一致したというのか、とにかく、「こはしばし中に入られよ。今ひとつコタツにて語らわん。」ということになったのです。
もともと、避難小屋として作られたものですから、がっしりとしていますが何もなかったようです。それをこの方がせっせせっせと荷揚げされて、今では、風力発電機、太陽電池、バッテリーを具えて、この通りコタツまであるのです。今では、自炊形式の営業小屋の形態をとっています。でも寝具つきで2000円ですから安いと思います。登山客が本とか不要になったものを置いて帰ったりしますから、だんだんとモノが増えていきました。京都の学生がCDプレーヤーとスピーカーを持って上がってくれたのがたいへんうれしかったと言っておられます。
そこで、「何か聞きますか?これはどうですか。最近はこればっかり聞いています。」
「ギギギギ、ギガーアアアーーンンンーー」(ヘビメタの音)
「いやあ、私はヘビメタはわかりませんよ。この年ですからね。いろいろと聞きましたが、どうしても世代的にヘビメタまでは行き着けないのです。」
「私もそうでしたよ。しかし、ここで暇なときにすることがないので、もういろいろと聞いて、聞き飽きてとうとうヘビメタにたどり着いたのです。今では、これにはまっていますよ。分かるようになったのです。」
「へえ、えらいなあ。おいら尊敬しちゃうよ。」
「でもお客さんですから、何か別のものをかけましょうか。」
「山はやっぱりね、クラシックですよ。それも、ベートーベンみたいな思想がぐわーんと表に出ているのではなく、裏でさりげなくあって、とにかく表は聞きやすいものがいいです。それはモーツァルトですね。」
「モーツァルトはないなあ。」
「ブルックナーはないですか?」
「私は、マーラーが欲しいのです。」
「あれは、スケールが大きすぎて聞いていて疲れるでしょう?」
「ああ、バッハがありました。ブランデンブルグ協奏曲。」
「あ、それいいなあ。でも、何でそんなものがここにあるんですか。信じられない!でもぴったりですよ。」
ちゃっちゃらちゃっちゃら、ぴったかぴったか、しゅらーしゅらー…
「なるほどね、小編成で聞きやすくうるさくない。私は初めて聞くんです。」
「これは、王侯貴族たちがメシ食ったりおしゃべりしたりしているときのBGMに使っていたようですね。バッハは敬虔な気持ちで一生懸命作曲し、演奏家たちも必死こいてやっているのにね、ヤツラはベッタラベッタラぺちゃくちゃしていたのでしょう。でもだれだったか、王様でえらいインテリな人がいて、彼はバッハのことをよーく分かっていたようです。」
「これは、特に曲全体に山があって、盛り上がったりするわけではないけれども、聞いていて飽きないんだな。いろんな曲が永遠に続く感じがする。」
「そうそう、そうです。だから山にいいです。」
「なるほどね、こんどはクラシックを聞くことにしよう。」(と言いながら実はこの管理人さん、私がいなくなったら、即ヘビメタにチェンジするんだろうなあ。見え見えだよー。)
話は、山の話、自然を愛する話、自然破壊の話、登山者の話、どんな服装が暑さに強いか(答えは私と同じです。単純な綿がい・ち・ば・ん。吸湿速乾だろうと何だろうと、化繊はダメです。)、はては理論物理学の話。理屈の話が延々と続くのです。
この方は、いい人なのですが、山にこもっているとこうなる、という典型のような気が…。好き嫌いが激しく、でも情熱家で愛すべき人です。私もこうなってもいいかもーとふと思ったけれども、どうも資質が違うみたい。わたしゃきっとこうはなれないよ、何かがちがう。
ということで、1時間近くもおしゃべりをして、やっと出て行くことになりました。だって、ここは九合目で、まだ頂上に行っていないのです。ただ、外は猛烈なガスでほとんど何も見えませんから、つい長居をしてしまいました。
「このあたりは、低気圧はきまって速く通り過ぎる。だから、昨夜のうちに雨は降って当然でした。3時まで待っていると、このガスは消えますよ。」
いや、3時まで待っていると下りる時間がなくなって、おいらここに泊まらなくてはならなくなる。それだけは絶対に避けなくては…。
ということで、1時過ぎに小屋を後にしました。今度来るときは、モーツァルトのCDをお土産に持って来るよー、と約束して。
⑩これが小屋の入り口です。今日はあいにくの天気なので、登山者が少ない。管理人さんは寂しかったのでしょうね、きっと。

⑪山頂です。男女混合4人組がいました。カメラをお願いしたら、お菓子やチーズやいろいろともらいました。

⑫祖母山の山名の由来はですねー。私のひじの下にあります。これは、いたかいなかったかはっきりしない神武天皇のばあちゃんの墓、もしくは祀ったものなんです。だから、祖母山、いいですね。

⑬祖母山の裏側は油断できません。崖です。絶壁が続きます。当然、鎖とハシゴの連続。おまけに火山性の黒土は、雨上がりなので、ズルズルズルズル滑る滑る。ちょい緊張しましたー。

⑭尾平の三菱鉱山跡が見えます。カドミウムの鉱毒を消すために、今もそのために動いています。「ほしこが」が見えますね。本当?

⑮だいぶ下りました。黒金尾根の分岐まで来ました。向こう正面のガスに囲まれた中に祖母山の山頂があります。アケボノツツジが各所に咲いていますね。崖もあちこちにあるでしょう?

⑯さっき、「ほしこが」が見えたとき、ああ、だいぶ下りたんだなあと思って頂けましたか?それは実はウソ。望遠レンズの成せる技でした。実際は、まだこんなところにいるんです。下界ははるかかなたです。ああ、いやんなっちゃうよ。もう3時だよ。こりゃ下に着くのは5時ごろだなあ。山の中は暗くなる頃だよ。とほほ。

⑰石楠花(シャクナゲ)登場。めちゃ元気になります。ドハデで大きな花です。祖母山はシャクナゲは多いのですが、まだ開花は少しはやいみたいです。

⑱やはり緑、新緑はいいなあ。ただそれだけ。

⑲やっと沢まで下りてきました。本当はこの山の中はもう薄暗くなっているのですが、写真の露出は明るく写しています。

ということで、無事に下山しました。5時です。今から、この大分の最も山奥の地を抜け出して、次は宮崎の最も山奥の地に入り込みます。この反対側に行くのですが、昨年の台風のときの大雨で、山越えの県道が完全に崩落していてどうにもこうにもならず、外から回り込みます。行き先は、日向延岡の山奥の大崩山(おおくえさん)の麓、祝子川(ほうりがわ)の集落です。今夜の宿は、そこの民宿「大崩の茶屋」を予約しているのです。
⑳この吊り橋は見覚えがありますか?大分県緒方町の原尻の滝にかかる吊り橋です。豊後の里は清水の郷です。

(21)これが、原尻の滝です。別名、大分のナイヤガラ。なかなか見ものですよ。幹線から100mくらい入るので、外から来た多くの人は気づかずに通り過ぎます。ちゃんと道の駅があるので、そこで滝の音を聞きながら車中泊したこともあります。ロマンチックなのですが、一人ではねえ…。

(22)途中の林道越えも道路工事やら崖崩れやらで、通行止めがあって、山の中の道をうろちょろしていて、大崩の茶屋に着くのが遅くなりました。でも気持ちよく迎えて頂けました。まずは、近くの祝子川美人湯という温泉で汗を流します。帰ってきたら、この通り民宿ならではの食事が待っています。

だいぶ食べてしまったのですが、鹿の刺身があるのが分かりますか?あれ、うんまいよー。気に入りました。寄生虫がいるかもしれないけれども、そんなのどうでもいい。あっさりとして臭くもなく、ただすがすがしい味が口いっぱいに広がります。最近は、特に九州では、鹿は害獣ですから、駆除したあとは食べているそうです。去年もここに泊まったのですが、そのときは、イノシシとキジが出ました。今夜はヤマメがありますね。あとは、ほとんど家の食べ物と同じものが並んでいます。ワサビ漬けなどの山菜がうまい。向こうにある白い液体はなんじゃらほい?豆乳?尋ねたら、何と幕府御禁制のドブロクだそうな。酒税局の取り締まりなんてのは、まだあるのですか?
というわけで、明日は岩峰が立ち並ぶ大崩山でございまする。請うご期待。
5月4日に傾山から下りてきて、夕方に尾平(おびら)に着きました。ここは、旧三菱の鉱山跡で、かつては数千人の人々が住んでいたのですが、現在は、祖母山麓青少年旅行村「ほしこが」と民宿「もみぢや」があるだけです。ただ、その他に、旧鉱山の鉱毒処理と治山事業のための三菱の現地作業所がありますが、たいへん山奥で夜の静けさは尋常ではありません。
天気予報では、明日は雨となっています。夕方から、いわゆる雨風が谷間を吹き抜けていましたから、間違いないでしょう。ところが、ほしこがの支配人さんが、「たぶん、もっと早く、今晩雨になるでしょう。すると明日は大丈夫。ただし、ガスが上ってきますけどね。」と経験豊富な話をされました。私も、「雨風が早く吹いてきたし、空を見ていると雲が早いですから、そうなるかもしれませんね。だといいですねえ。」と返しました。
「福山から来られていましたね。あそこは、駅から城が見えるでしょう?」
「ええ、そうです。よく映画のワンシーンに使われます。私は、去年もちょうどこの時期にここに来ました。」
「だったら、そのときも私は同じことを言ったでしょう?城が見える駅だって。」
「ええー?覚えていませーん。もしかしたらそうだったかも~。うーん、そんな気がしてきました。」
とか何とかで少し親しくなりました。
「ところで、予約していないのですが、夕食だけお願いできないでしょうか?山の上から電話したのですが、通じなかったのです。」
「うーん、今からだと難しいですね。山の上でね、アンテナが立たなかったら、少し移動したら立つところがあります。十分通じますよ。」
「ええ、そう聞いていたのです。昨今、山の事故が多いから、日本の有名な山はほとんど何とか通じるようになっていますよね。でも、だめでした。」
「実は、祖母山も遭難が多いので、そこに向けて3ヶ所から電波が来るようになっています。九重と阿蘇と( )からと。それが干渉しあって、逆につながりにくくなっているらしいのです。だから、山頂を少しずつ移動すると、さっとアンテナが立つのです。今日も祖母山の山頂から、予約された人がいますから、間違いありません。」
「えー、そうなんですかあ。そんなことは知らないから、試さなかったもんなあ。だめだったらだめ、と思ってしまいました。でも、残念だなあ。去年も何もしていなくて、夕食は食べられなくて、お風呂に行くときにレストランを通るでしょう、あのとき見たすき焼きがうまそうでいい匂いがしていたから、今年はぜひと思っていたんです。傾山の頂上から電話が通じないなんて夢にも思っていなかった。上畑に下りてしまうと谷間だから、絶対に通じないでしょう。しかも公衆電話がないし。」
「ちょっと待ってね。厨房へ掛け合ってくる。」(こうやって、あんたはん、とっとっとっとと厨房へ行かれはったのどすえ)
「いけるそうですー!」
やれやれ、こうやって、私は念願の「ほしこが」のすき焼きの夕食にありついたのです。2200円ですが、とにかく量が多かったなあ。
その前に、もちろんお風呂に入ったのですよ。入り口に掲示がしてあります。
「戸の開放厳禁!虫や蛇が入ります。」おお、蛇とな!!去年も書いてあった。そして、あれ、本当?って聞いたんだっけ。どうやら、事例があったらしい。
田舎や山の露天風呂には、ときどきカエルが来ることがあります。そして、中に落ちると湯だって死んでしまいます。北アルプスの高天ヶ原温泉(白い硫黄泉)では、何匹も生きたのやら死んだのらといっしょに温泉に入ったなあ。
夜明け前に、猛烈な風が吹いて、木の葉が飛び散って車にぶち当たっています。けっこう強烈な雨が降って、しばらくして小雨になり、これはうまくいきそうだと思って、夜が明けてもぐだぐだしていましたら、7時には完全に止んだので山登りの準備をして、8時に登り始めました。いざ、今日は祖母山へ。ただし尾根からはガスに突入です。
標高差は、祖母山は1756m、ここ尾平登山口は600mくらいですから、ざっと1.15kmで、傾山の場合より100mほど楽だよん。
①これはミズナラの木だと思います。ブナではありません。回りにあるまっすぐな針葉樹は、ツガです。

②さっそくのお出ましのアケボノツツジです。やっぱりかわいいですよねえ。

③さっきのアケボノツツジを裏側からみたものです。プン、失礼ね、と言っているような気が…。

④本当は、2時間以上も、うんうん、ぷんぷん言いながらここまで来たのですが、突然尾根です。尾根は下から見ていてもガスの中でしたから、ほれこの通り。

⑤そのガス、というか霧雨っぽい中でのアケボノツツジ。ほのぼのとして美人です。

⑥うおー、ミルキー!完全にガスの中です。数m先はこの調子です。しっかし、いいなあ、この色合い。日本に生まれてよかったよかった。

⑦もうバンバン写しちゃう。枝から水が滴っていますね。ガス中の水蒸気が凝結しています。

⑧もう何と申しましょうか。霧中の蝶の乱舞?本当にこのような情景が目の前にあるのです。写真はウソはつきません。

⑨と、突然、コタツのある部屋。ううう、この壁と天井を別とすれば、なーにか心に染みるものがある…。そうだそうだベン君の下宿の匂いがプンプンするしー。そういえば彼は九州男児でしたからね。

これは、祖母山九合目小屋「あけぼの山荘」です。「Q合目小屋」とか書いたりします。ここに着いたのが12時前、何を隠そう、私はその後、1時間近く、このコタツに入っていたのです。1997年に町の施設として落成して以来ずっと管理人をされている(名前は隠します。写真を撮られるのも大の苦手な人ですので、管理人さんと呼びます。)管理人さんと、外で話していて気が合うというのか、おそろしいことに価値観が一致したというのか、とにかく、「こはしばし中に入られよ。今ひとつコタツにて語らわん。」ということになったのです。
もともと、避難小屋として作られたものですから、がっしりとしていますが何もなかったようです。それをこの方がせっせせっせと荷揚げされて、今では、風力発電機、太陽電池、バッテリーを具えて、この通りコタツまであるのです。今では、自炊形式の営業小屋の形態をとっています。でも寝具つきで2000円ですから安いと思います。登山客が本とか不要になったものを置いて帰ったりしますから、だんだんとモノが増えていきました。京都の学生がCDプレーヤーとスピーカーを持って上がってくれたのがたいへんうれしかったと言っておられます。
そこで、「何か聞きますか?これはどうですか。最近はこればっかり聞いています。」
「ギギギギ、ギガーアアアーーンンンーー」(ヘビメタの音)
「いやあ、私はヘビメタはわかりませんよ。この年ですからね。いろいろと聞きましたが、どうしても世代的にヘビメタまでは行き着けないのです。」
「私もそうでしたよ。しかし、ここで暇なときにすることがないので、もういろいろと聞いて、聞き飽きてとうとうヘビメタにたどり着いたのです。今では、これにはまっていますよ。分かるようになったのです。」
「へえ、えらいなあ。おいら尊敬しちゃうよ。」
「でもお客さんですから、何か別のものをかけましょうか。」
「山はやっぱりね、クラシックですよ。それも、ベートーベンみたいな思想がぐわーんと表に出ているのではなく、裏でさりげなくあって、とにかく表は聞きやすいものがいいです。それはモーツァルトですね。」
「モーツァルトはないなあ。」
「ブルックナーはないですか?」
「私は、マーラーが欲しいのです。」
「あれは、スケールが大きすぎて聞いていて疲れるでしょう?」
「ああ、バッハがありました。ブランデンブルグ協奏曲。」
「あ、それいいなあ。でも、何でそんなものがここにあるんですか。信じられない!でもぴったりですよ。」
ちゃっちゃらちゃっちゃら、ぴったかぴったか、しゅらーしゅらー…
「なるほどね、小編成で聞きやすくうるさくない。私は初めて聞くんです。」
「これは、王侯貴族たちがメシ食ったりおしゃべりしたりしているときのBGMに使っていたようですね。バッハは敬虔な気持ちで一生懸命作曲し、演奏家たちも必死こいてやっているのにね、ヤツラはベッタラベッタラぺちゃくちゃしていたのでしょう。でもだれだったか、王様でえらいインテリな人がいて、彼はバッハのことをよーく分かっていたようです。」
「これは、特に曲全体に山があって、盛り上がったりするわけではないけれども、聞いていて飽きないんだな。いろんな曲が永遠に続く感じがする。」
「そうそう、そうです。だから山にいいです。」
「なるほどね、こんどはクラシックを聞くことにしよう。」(と言いながら実はこの管理人さん、私がいなくなったら、即ヘビメタにチェンジするんだろうなあ。見え見えだよー。)
話は、山の話、自然を愛する話、自然破壊の話、登山者の話、どんな服装が暑さに強いか(答えは私と同じです。単純な綿がい・ち・ば・ん。吸湿速乾だろうと何だろうと、化繊はダメです。)、はては理論物理学の話。理屈の話が延々と続くのです。
この方は、いい人なのですが、山にこもっているとこうなる、という典型のような気が…。好き嫌いが激しく、でも情熱家で愛すべき人です。私もこうなってもいいかもーとふと思ったけれども、どうも資質が違うみたい。わたしゃきっとこうはなれないよ、何かがちがう。
ということで、1時間近くもおしゃべりをして、やっと出て行くことになりました。だって、ここは九合目で、まだ頂上に行っていないのです。ただ、外は猛烈なガスでほとんど何も見えませんから、つい長居をしてしまいました。
「このあたりは、低気圧はきまって速く通り過ぎる。だから、昨夜のうちに雨は降って当然でした。3時まで待っていると、このガスは消えますよ。」
いや、3時まで待っていると下りる時間がなくなって、おいらここに泊まらなくてはならなくなる。それだけは絶対に避けなくては…。
ということで、1時過ぎに小屋を後にしました。今度来るときは、モーツァルトのCDをお土産に持って来るよー、と約束して。
⑩これが小屋の入り口です。今日はあいにくの天気なので、登山者が少ない。管理人さんは寂しかったのでしょうね、きっと。

⑪山頂です。男女混合4人組がいました。カメラをお願いしたら、お菓子やチーズやいろいろともらいました。

⑫祖母山の山名の由来はですねー。私のひじの下にあります。これは、いたかいなかったかはっきりしない神武天皇のばあちゃんの墓、もしくは祀ったものなんです。だから、祖母山、いいですね。

⑬祖母山の裏側は油断できません。崖です。絶壁が続きます。当然、鎖とハシゴの連続。おまけに火山性の黒土は、雨上がりなので、ズルズルズルズル滑る滑る。ちょい緊張しましたー。

⑭尾平の三菱鉱山跡が見えます。カドミウムの鉱毒を消すために、今もそのために動いています。「ほしこが」が見えますね。本当?

⑮だいぶ下りました。黒金尾根の分岐まで来ました。向こう正面のガスに囲まれた中に祖母山の山頂があります。アケボノツツジが各所に咲いていますね。崖もあちこちにあるでしょう?

⑯さっき、「ほしこが」が見えたとき、ああ、だいぶ下りたんだなあと思って頂けましたか?それは実はウソ。望遠レンズの成せる技でした。実際は、まだこんなところにいるんです。下界ははるかかなたです。ああ、いやんなっちゃうよ。もう3時だよ。こりゃ下に着くのは5時ごろだなあ。山の中は暗くなる頃だよ。とほほ。

⑰石楠花(シャクナゲ)登場。めちゃ元気になります。ドハデで大きな花です。祖母山はシャクナゲは多いのですが、まだ開花は少しはやいみたいです。

⑱やはり緑、新緑はいいなあ。ただそれだけ。

⑲やっと沢まで下りてきました。本当はこの山の中はもう薄暗くなっているのですが、写真の露出は明るく写しています。

ということで、無事に下山しました。5時です。今から、この大分の最も山奥の地を抜け出して、次は宮崎の最も山奥の地に入り込みます。この反対側に行くのですが、昨年の台風のときの大雨で、山越えの県道が完全に崩落していてどうにもこうにもならず、外から回り込みます。行き先は、日向延岡の山奥の大崩山(おおくえさん)の麓、祝子川(ほうりがわ)の集落です。今夜の宿は、そこの民宿「大崩の茶屋」を予約しているのです。
⑳この吊り橋は見覚えがありますか?大分県緒方町の原尻の滝にかかる吊り橋です。豊後の里は清水の郷です。

(21)これが、原尻の滝です。別名、大分のナイヤガラ。なかなか見ものですよ。幹線から100mくらい入るので、外から来た多くの人は気づかずに通り過ぎます。ちゃんと道の駅があるので、そこで滝の音を聞きながら車中泊したこともあります。ロマンチックなのですが、一人ではねえ…。

(22)途中の林道越えも道路工事やら崖崩れやらで、通行止めがあって、山の中の道をうろちょろしていて、大崩の茶屋に着くのが遅くなりました。でも気持ちよく迎えて頂けました。まずは、近くの祝子川美人湯という温泉で汗を流します。帰ってきたら、この通り民宿ならではの食事が待っています。

だいぶ食べてしまったのですが、鹿の刺身があるのが分かりますか?あれ、うんまいよー。気に入りました。寄生虫がいるかもしれないけれども、そんなのどうでもいい。あっさりとして臭くもなく、ただすがすがしい味が口いっぱいに広がります。最近は、特に九州では、鹿は害獣ですから、駆除したあとは食べているそうです。去年もここに泊まったのですが、そのときは、イノシシとキジが出ました。今夜はヤマメがありますね。あとは、ほとんど家の食べ物と同じものが並んでいます。ワサビ漬けなどの山菜がうまい。向こうにある白い液体はなんじゃらほい?豆乳?尋ねたら、何と幕府御禁制のドブロクだそうな。酒税局の取り締まりなんてのは、まだあるのですか?
というわけで、明日は岩峰が立ち並ぶ大崩山でございまする。請うご期待。
Posted by Poppo at 02:34Comments(5)||
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コメント
素晴らしい!~アケボノツツジは可憐ですね~まさしく蝶の乱舞・・・九州に居る頃、阿蘇、九重は、初夏のツツジは、ミヤマキリシマが中心で、山全体がミヤマキリシマって感じでした。(意外に冬の樹氷(霧氷?)も良いのですが・・・)
近畿では、大台ケ原の大蛇ぐら(漢字が出ない・・・)付近にアケボノツツジが咲きますが、岩場に咲いていて、こんなに可憐で、美人な感じでは無かった様な気がします・・・
四国、九州に、こんなにも素敵に咲いていたとは知りませんでした。
それでは、昨日に続いて、今日も講習会が新大阪であるので出掛けます・・・
近畿では、大台ケ原の大蛇ぐら(漢字が出ない・・・)付近にアケボノツツジが咲きますが、岩場に咲いていて、こんなに可憐で、美人な感じでは無かった様な気がします・・・
四国、九州に、こんなにも素敵に咲いていたとは知りませんでした。
それでは、昨日に続いて、今日も講習会が新大阪であるので出掛けます・・・
アケボノツツジは本当にすばらしくきれいで、可憐であでやかで気品がある花です。日本の紀伊半島、四国、九州の高山で生育しています。こんな素敵な花なのですが、意外と知られていません。毎回、尾根で、また下山後にたずねられます。「あの尾根で咲いていたサクラみたいな花は何ですか?」名前を言うと、知っている人もいますが、たいていは死ご存知ありません。花って、見てから名前を覚えるものですからね。見ないのに覚えられないし、なかなか興味ももてません。
ということで、何とか「はと」のメンバーには全員に本物を見てほしいと思っています。そのうちにね。
ケシコから引越しのお知らせのはがきが来ました。ちょっと勘違いしていましたが、ケシコの自動車教習所通いは、運転の感覚を取り戻すためのものなのですね。初めて免許を取るものと思っていました。失敬失敬。自由に車に乗れるようになると、行動範囲が広がって楽になります。よかったよかった。
ということで、何とか「はと」のメンバーには全員に本物を見てほしいと思っています。そのうちにね。
ケシコから引越しのお知らせのはがきが来ました。ちょっと勘違いしていましたが、ケシコの自動車教習所通いは、運転の感覚を取り戻すためのものなのですね。初めて免許を取るものと思っていました。失敬失敬。自由に車に乗れるようになると、行動範囲が広がって楽になります。よかったよかった。
お久し振りです?
私は秋田の新緑の中で静かに元気に過ごしています!愛媛とはやはり違うな〜としみじみ思うこの頃です。
皆さん今度は秋田にも来て下さいね?
私は秋田の新緑の中で静かに元気に過ごしています!愛媛とはやはり違うな〜としみじみ思うこの頃です。
皆さん今度は秋田にも来て下さいね?
ご無沙汰ばかりしています。
龍馬を観に行きたいなと 思いながらずるずると日が過ぎてしまっています????
トミちゃんの だんな様にもお目にかかりたいなーーと
私 無条件に花は好きなのですが とくにシャクナゲは 大好きなものの1つです。見る事ができて うれしいです。
家の庭で育てようとするのですが なかなかうまくいかなくてーー 水はけのいい傾斜地を好むのでしょうかね?
ケシコさんへ
お引越し大変でしたね。お便りをと思いながらごめんなさい。
この場をお借りいたしまして。
ご活躍を!!がんばってね。 yo.
龍馬を観に行きたいなと 思いながらずるずると日が過ぎてしまっています????
トミちゃんの だんな様にもお目にかかりたいなーーと
私 無条件に花は好きなのですが とくにシャクナゲは 大好きなものの1つです。見る事ができて うれしいです。
家の庭で育てようとするのですが なかなかうまくいかなくてーー 水はけのいい傾斜地を好むのでしょうかね?
ケシコさんへ
お引越し大変でしたね。お便りをと思いながらごめんなさい。
この場をお借りいたしまして。
ご活躍を!!がんばってね。 yo.
ポッポさん、四国に生まれ育ちましたが、この時期の山の様子は全く見たことがなく、新鮮です!アケボノツツジがこんなにきれいなのですね!
今朝、岩手~栗駒高原にかけての大地震にびっくりしました。夕方までの情報では被害の情況があまりわかっていなかったようですが相当の被害がありそうで心配ですね・・・。私は直接の家族・知り合いはいないのですが、はとの皆様の中にはご心配な方もいることでしょう。はと関係では、一番近いのがわらび座のトミさんですが、ニュースでは秋田の方は被害がなかったようでしたが、大丈夫でしょうか?皆様のご無事、そして、被害の少ない事を祈ります!!!
ヨッコさん、コメントありがとうございます。お蔭様で、愛媛での生活に少し慣れ元気に過ごしています。ただ、慣れるにしたがって今まで見えなかった物が見えて来ました。「26年前より田舎はもっと田舎になっている?!」これからの事をいろいろ考える日々です。
今朝、岩手~栗駒高原にかけての大地震にびっくりしました。夕方までの情報では被害の情況があまりわかっていなかったようですが相当の被害がありそうで心配ですね・・・。私は直接の家族・知り合いはいないのですが、はとの皆様の中にはご心配な方もいることでしょう。はと関係では、一番近いのがわらび座のトミさんですが、ニュースでは秋田の方は被害がなかったようでしたが、大丈夫でしょうか?皆様のご無事、そして、被害の少ない事を祈ります!!!
ヨッコさん、コメントありがとうございます。お蔭様で、愛媛での生活に少し慣れ元気に過ごしています。ただ、慣れるにしたがって今まで見えなかった物が見えて来ました。「26年前より田舎はもっと田舎になっている?!」これからの事をいろいろ考える日々です。

